投資信託を選ぶとき、よく目にするのが「アクティブファンド」と「インデックスファンド」です。

「プロが運用しているアクティブファンドなら、市場平均より良い成果を出してくれるのでは?」
と思う方も多いはずです。
でも実際はどうなのでしょうか?
その答えをデータで示してくれるのが「SPIVA(スパイヴァ)日本スコアカード」です。
SPIVA日本スコアカードとは?
SPIVAは、アメリカのS&P社が世界各国で発表しているレポートで、「アクティブファンドのうち、どれくらいが市場平均(インデックス)に勝てたのか?」 をまとめたものです。
特徴は、成績の悪いファンドが途中で消えてしまっても、きちんと統計に含めていること。
つまり、投資家が実際に直面するリアルな数字が見られるのです。

アクティブ運用は、負け続けているファンドが途中で消えていくことも多いです。
普通の統計ではこれが除外されて、勝ってるように見える生存バイアスが働きますが、SPIVAはそこをきちんと補正しているということです。
- 「生き残ったものだけを見て判断すると、結果を過大評価してしまう」統計上の偏りのこと。
- 投資信託でよくある例:成績の悪いファンドは途中で運用終了・統合されるため、残っているのは「比較的成績の良いファンド」になりがち。
これを無視すると「アクティブは結構勝ってるじゃん」と誤解してしまう。
生存バイアスを下図(勝者だけが残っているグラフ vs 消えたものも含めたグラフ)で示すと、左側は「生き残ったファンドだけを見た場合」で、右側は「消えたファンドも含めた場合」です。

「生き残ったファンドだけを見た場合」は順調に右肩上がりに見えますが、「消えたファンドも含めた場合」は負け組ファンドの存在も反映され、全体像がより正しく見えるようになります。
最新データ(2024年)の結果
2024年に公表されたSPIVA日本スコアカードによると、日本のアクティブファンドの多くは市場平均に勝てていませんでした。
- 市場平均(S&P Japan 500指数):+34.1%
- アクティブファンド平均:+29.9%
カテゴリー別では:
- 大型株ファンド → 約62〜80%が市場平均に負けた
- 中小型株ファンド → 約57〜60%が市場平均に負けた
つまり、半分以上のアクティブファンドは「市場平均以下」だったのです。
長く投資するとどうなる?
さらに3年、5年、10年と期間を長くすると、アクティブファンドの勝率はどんどん下がります。
下図はSPIVA日本スコアカードの傾向をシンプルに示したもので、期間が長くなるほど「インデックスに勝てるアクティブファンドの割合が減っていく」ことが直感的に分かると思います。

これは日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも同じ傾向です。
「短期的に勝つファンド」はあっても、「長期で勝ち続けるファンド」はごくわずか。しかも、それを事前に選び当てるのはほとんど不可能です。
なぜアクティブは勝ちにくいのか?
いくつか理由があります。
- コストが高い:運用報酬や売買手数料がインデックスより高いため、成果が削られる
- 市場が効率的:多くの投資家が情報を共有しているので、簡単に“お得な銘柄”を見つけられない
- データの偏りがない:成績の悪いファンドも含めて集計されるので、現実的な結果が見える

これに関しては以前に別の記事でまとめましたので、ぜひ見てみてください。
まとめ
SPIVA日本スコアカードの結果を見ると、アクティブファンドを選べば市場平均より得をするというのは、残念ながら幻想に近いことがわかります。
もちろん、少数のアクティブファンドは勝ち残ります。
ですが、それを見抜くのは非常に難しいことです。
だからこそ、低コストのインデックスファンドをコツコツ積み立てることが、多くの人にとって現実的で安心できる選択肢なのです。

投資の世界では「シンプルが強い」!
市場平均に連動するインデックス投資こそ、長期で資産を増やすための一番確実な方法かもしれません。
以上、参考になれば幸いです。