昔はよかった「保険で貯蓄」今では損?

貯蓄型保険はおすすめしません 資産運用

かつて「保険は貯蓄にもなる」と広く信じられていた時代がありました。

特に終身保険や養老保険、学資保険は、予定利率が高く銀行預金よりもお金を増やせる手段として人気を集めました。

ところが、低金利が長く続く現代では状況が大きく変化しています。

今でも「保険で資産形成」と考えている方も多いですが、それは過去の常識に基づく誤解かもしれません。

本記事では、昔と今の保険の利回りを数字で比較し、現代に合った賢い保険の考え方を解説します。

昔の保険が評価された理由

かつては「終身保険」「養老保険」「学資保険」など、貯蓄性のある保険が大きな人気を集めていました。

理由はシンプルで、当時は予定利率が高かったからです。

バブル期前後には予定利率が4〜5%という時代もあり、銀行預金の金利も高く、保険でも十分に「増える」感覚がありました。

その結果、「保険は貯金にもなる」「家族のためにも入っておくべき」という常識が広まりました。

予定利率とは何か?

保険商品の説明で出てくる「予定利率」とは、保険会社が契約時に設定する利率のことです。

これは、保険会社が契約者から集めた保険料を運用して得られる利回りを見込んで決められます。

例えば、予定利率が4%の保険であれば、保険会社は将来的に契約者に支払う解約返戻金や満期金を、その利率で運用することを前提に設計しています。

重要なポイント
  • 予定利率が高いほど、将来の解約返戻金や満期金は多くなる。
  • 過去(特に1990年代以前)は4〜5%が普通だったが、現在は0.25〜0.5%と非常に低い。
  • 予定利率は契約時に固定されるため、昔の契約は現在の低金利でも高い利率のまま運用される。

つまり、昔の高予定利率の保険は「貴重な金融資産」といえる理由の一つです。

逆に、現在契約する保険は貯蓄性が低く、保障機能が中心になります。

今の貯蓄型保険は割に合わない

数字を見れば、昔は保険で資産形成が可能だったこと、しかし今は保障費用が多く実質利回りが低いため、資産形成手段としては不向きであることがわかります。

昔と今の保険予定利率比較

昔(1990年代)と今(2020年代)の保険予定利率を比較します。

時代予定利率銀行預金金利保険の特徴
1990年代4〜5%3〜5%貯蓄性が高く、資産形成手段として有効
現代(2020年代)0.25〜0.5%0.2〜0.3%貯蓄性はほぼなし。保障機能が中心
図1:昔と今の保険予定利率比較

終身保険の払込例(シミュレーション)

30年間、毎月2万円を払い込んだ場合の、現在の保険と以前の保険の解約返戻金を比較したシミュレーション結果です。

項目昔(1990年代)今(2020年代)
月払い保険料2万円2万円
払込期間(年)30年30年
払込総額720万円720万円
60歳時解約返戻金約1,000万円(利回り約3.4%)約310万円(実質利回り0.5%、貯蓄部分のみ)
図2:終身保険の払込例(シミュレーション)

現在であれば、終身保険よりも掛け捨ての定期保険を選ぶほうが得策です。

昔の保険は転換せず大事にしたほうがいい3つの理由

今の保険が割に合わないのは分かったけど、昔の保険はどうなの?

昔の保険は利回りが高い

1990年代以前に契約された保険は、予定利率が4〜5%と非常に高く設定されていました。

長期間の契約で払い込みが完了すると、解約返戻金や満期金は現在の保険商品よりも遥かに有利になります。

これは低金利時代の今では得られないメリットです。

転換による損失

営業担当が転換を勧める際には、「保障内容が改善される」などの説明がありますが、実際には以下のデメリットがあります。

  • 解約返戻金が減る
  • 新契約の予定利率は現在の低水準になる
  • 契約期間が再スタートし、払い込み総額が増える場合がある

結果として、契約者にとって長期的に不利になるケースが多いのです。

時間が価値を守ってくれる

昔の高予定利率の保険は、契約時の利率が長期間固定される特徴があります。

そのため、解約や転換によってその価値を失うのは大きな損失です。

特に長期契約が進んでいる場合は、解約返戻金の伸びが契約継続の大きなメリットとなります。

昔の保険、いわゆる「お宝保険」は、契約時点での利率という「資産」です。転換提案には慎重になり、契約内容と返戻金を必ず確認しましょう。

今の時代の正しい保険の考え方

現代では保険は「保障」に限定し、資産形成は別の手段で行う方が合理的です。

資産形成の効率比較(30年間)

方法年利(想定)30年後の資産額リスク
終身保険(現代)実質0.5%(貯蓄部分のみ)約3,110,000円
つみたてNISA5%(平均)約16,650,000円中〜高
定期預金0.275%約7,500,000円
補足:上記は税引前の計算です。実際には源泉分離課税(20.315%)や手数料等で差が出ます。

この比較で、資産形成には保険より投資の方が効率的であることがはっきり分かりますね。

まとめ

昔は確かに「保険は貯蓄になる」時代がありました。それは金利が高く、保険自体が有利な運用手段だったからです。

しかし今は低金利時代。保険は保障として利用し、資産形成はNISAiDeCoなどの投資手段に切り替えるのが賢明です。

「昔はよかった」は事実ですが、今は通用しません。

時代に合わせた考え方で、無駄な保険料を減らし、賢く資産を築きましょう。

私は当時知識が乏しかったため、誤って終身保険に加入してしまいました。みなさんには、よく考えたうえで後悔のない選択をしてほしいと願います。

以上、参考になれば幸いです。

投資にはリスクが伴い、元本割れや損失が発生する可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。

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