昇給やボーナス、転職による収入アップは嬉しいものです。
しかし「お金が増えたはずなのに、なぜか貯まらない」という人は少なくありません。
その原因として代表的なのが 「ライフスタイル・インフレーション」 と 「ライフスタイル・クリープ」 です。
どちらも資産形成の大敵であり、一度はまり込むとなかなか抜け出せません。
今回は、この2つの違いと防ぐための工夫を整理してみます。
ライフスタイル・インフレーションとは
ライフスタイル・インフレーション(Lifestyle Inflation)は、収入が増えたタイミングで生活レベルを一気に引き上げてしまうことを指します。
- 昇給をきっかけに、家賃の高いマンションに引っ越す
- ボーナスで車をローン購入してしまう
- 新しい収入に合わせてブランド品を揃える
固定費が一度上がると、支出は元に戻しづらくなります。その結果、収入が増えても貯蓄や投資に回せる余裕がなくなってしまいます。
ライフスタイル・クリープとは
一方で、ライフスタイル・クリープ(Lifestyle Creep)は、派手な変化ではなく「少しずつ支出が膨らむ」現象です。本人が気づかないうちに起こる点が特徴です。
- 外食が週1回から週3回へ増えている
- 動画配信や音楽、雑誌などのサブスクをいくつも契約している
- ちょっと高級なコーヒーやお菓子を日常的に買うようになる
「大した額じゃない」と思っても、積み重なると大きな出費になり、気づけば貯金が減っているという事態に陥ります。
陥りやすい人の特徴5選
ライフスタイル・インフレーションやクリープにハマりやすい人には、共通する傾向があります。
- 平均より少し収入が高い人
周囲と比べて「自分は余裕がある」と思い、贅沢を許してしまいやすい。
- 見栄や比較に弱い人
ブランド品や住まいなど「他人からどう見られるか」を重視し、支出を増やしてしまう。
SNS
- ボーナスや臨時収入を全部使う人
「ご褒美」として消費する習慣がつき、ベース支出が年々膨らむ。
- 固定費のリスクを軽視する人
住宅ローンや車など、長期的な出費を安易に増やしてしまう。
最近では残価設定型クレジット(残クレ)にも要注意。
- 自動で貯蓄・投資をしていない人
「余ったら貯金」で結局使い切り、資産が積み上がらない。

心当たりがある場合は、早めに生活習慣を見直すのがおすすめです。
SNS時代は特に要注意
近年はSNSの影響も大きく、ライフスタイル・インフレーションやクリープを加速させる要因になっています。
- 他人の“いいとこ取り”の生活を見せられる
旅行、外食、ブランド品など華やかな部分だけが目に入り、実際の生活水準よりも高く見える。
- 比較の対象が無限に広がる
昔は同僚や友人程度でしたが、今は世界中の同世代が比較対象になり、焦りや劣等感につながりやすい。
- インフルエンサーや広告による誘惑
「おしゃれに暮らす=消費する」というイメージが強化され、気づかないうちに支出が増える。
その結果、「自分もこれくらいは普通だろう」と思ってしまい、生活水準をじわじわ上げてしまうのです。

消費欲を刺激する投稿を見ても、得られるものはありません。
自分は自分、他人は他人です。
共通する問題点
ライフスタイル・インフレーションとクリープに共通する一番の問題は、「一度上げた生活レベルを下げにくい」 ということです。
人は快適さに慣れてしまう(心理学でいう「快楽順応」)ため、以前の生活に戻るのが苦痛に感じられます。
そのため、収入が増えても貯まらず、FIREや早期リタイアといった目標がどんどん遠ざかってしまいます。

人間の欲には限りがなく、生活水準をどれだけ上げてもきりがありません。
防ぐための工夫
では、どうすればライフスタイル・インフレーションやクリープを防げるのでしょうか。
- 収入が増えたら、まずは自動で投資・貯蓄に回す
→「先取り貯蓄」を仕組み化すれば、余った分だけを自由に使えます。
- 固定費をむやみに上げない
→住宅や車のグレードアップは慎重に。特にローンは長期間の縛りになります。
- 経験や学びにお金を使う
→旅行や資格取得など、将来の人生に価値を残す支出を優先。
- たまの贅沢はご褒美として楽しむ
→「毎日」ではなく「特別なとき」に楽しむ工夫が、満足度を高めます。

シンプルに言えば、収入が増えても生活レベルを上げず、その分を貯蓄や投資に回すことが大切です。
まとめ
ライフスタイル・インフレーションは「派手に生活を上げること」、ライフスタイル・クリープは「気づかぬうちに生活が膨らむこと」。
どちらも資産形成の妨げとなり、一度上がった生活水準は下げにくいのが共通の落とし穴です。
収入が増えたときこそ、生活レベルを上げすぎず、未来の自分に投資する意識が大切です。
FIREや早期リタイアを目指すなら、ライフスタイルのコントロールが最大の武器になります。

知らないうちに出費が増えてしまわないように、家計簿アプリで支出を管理することをおすすめします。
以上、参考になれば幸いです。